新規事業の現場で、
こんな違和感を覚えたことはないでしょうか。
・会議は開かれている
・議論もそれなりに深い
・意見もたくさん出ている
それなのに、
なぜか決まらない。前に進まない。
振り返ってみると、
プロジェクトの中心にいるのは
「決めない人」だった、というケースは少なくありません。
この状態は、誰かが怠けているわけでも、
能力が足りないわけでもないことがほとんどです。
問題は、もっと別のところにあります。
決めないが影響力はある存在
最終判断を避ける
新規事業では、
形式上の責任者と、実質的なキーマンが
一致していないことがあります。
表では意見を出すだけ。
「方向性としてはいいと思う」
「もう少し見たいですね」
「判断は任せます」
そう言いながらも、
最終的な一言がないと動けない存在。
決定権を明言していないのに、
その人の反応次第で、
場の空気が変わってしまいます。
空気を左右する
このタイプのキーマンは、
強く否定することはありません。
ただ、
・少し表情が曇る
・コメントが歯切れ悪くなる
・「一旦保留で」と言う
それだけで、
プロジェクトは自然と止まります。
誰も「反対された」とは言えない。
しかし、誰も前に進めない。
そんな空気が生まれます。
なぜプロジェクトが止まるのか
誰も決めきれない
決めない人が影響力を持つと、
他のメンバーも判断を避け始めます。
「上がどう思うか分からない」
「ここで決めていいのか不安」
「後からひっくり返されるかもしれない」
結果として、
全員が“判断待ち”の状態になります。
判断そのものが、
宙に浮いてしまいます。
判断が上に戻り続ける
一見すると、
慎重に進めているように見えます。
しかし実態は、
・決めるべきことが毎回持ち越される
・同じ論点が何度も戻ってくる
・「前も話したはず」の議論が繰り返される
これは慎重さではなく、
判断構造が整っていない状態です。
決めない人が悪いわけではない
役割設計の問題
ここで重要なのは、
「決めない人=悪」ではない、という点です。
その人は、
・リスクを過剰に恐れているわけでも
・責任逃れをしているわけでも
ないことがほとんどです。
単純に、
「どこまで決めていい役割なのか」
が整理されていないだけです。
責任範囲の不明確さ
新規事業では、
役割と責任が曖昧なまま
スタートすることが多くあります。
・誰が最終判断者なのか
・誰は意見を言う立場なのか
・どこからが決定なのか
この線引きがないと、
決めない人が自然と
“止める存在”になってしまいます。
それは個人の資質ではなく、
構造の問題です。
初期フェーズで必要な役割整理
決める人
初期フェーズでは、
「決める人」が明確であることが重要です。
完璧な判断ができる人、
ではありません。
・仮で決められる
・後で変えてもいいと理解している
・前に進める責任を持つ
こうした役割を引き受ける人が、
誰なのかが見えているだけで、
プロジェクトは動きやすくなります。
意見を言う人
一方で、
意見を言う役割も欠かせません。
・リスクを指摘する
・別案を出す
・違和感を言葉にする
ただし、
意見を言うことと、
決めることは別です。
この切り分けがないと、
「誰も悪くないが、何も決まらない」
状態が続きます。
推進役ができる線引き
決定権を明確にする
推進役が果たせる大きな役割のひとつが、
決定権の見える化です。
・この判断は誰が決めるのか
・今日は決めるのか、意見出しなのか
・仮決めか、確定か
これを場に出すだけで、
議論の質は大きく変わります。
誰かを責める必要はありません。
構造を整理するだけです。
判断を前に出す
もうひとつ大切なのは、
判断を“裏”に回さないことです。
・「上の判断待ち」にしない
・「空気で止めない」
・決まっていないことを明確にする
判断が前に出ると、
プロジェクトは止まりにくくなります。
決めない人も、
「決めなくていい役割」として
健全に関われるようになります。
まとめ
新規事業が止まる時、
その原因が「決めたくない人」に
見えることがあります。
しかし多くの場合、
問題は個人ではありません。
・役割が曖昧
・決定権が見えない
・判断の線引きがない
この構造がある限り、
誰がキーマンでも、
同じことが起きます。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「なぜか決まらない」「誰も悪くないのに進まない」と感じているなら、
一度、役割や判断の構造を整理してみることも選択肢のひとつです。
それだけで、
次の一歩が見えやすくなることがあります。
