新規事業が「いつの間にか通常業務に飲み込まれる」瞬間

新規事業の立ち上げを始めた直後は、
「これは会社にとって重要な取り組みだ」
という共通認識があることが多いです。

最初の会議には関係者が集まり、
資料も用意され、前向きな空気があります。

ところが、数週間、数か月経つと、
気づけばこうなっていませんか。

・新規事業の話題が会議に出なくなる
・担当者が「今週は時間が取れなくて」と言い出す
・次の一手が決まらないまま、静かに止まる

誰かが止めたわけではありません。
反対された記憶もありません。
それでも、新規事業はいつの間にか通常業務に飲み込まれていきます。

これは、担当者の意識や熱量の問題ではなく、
兼務体制で起きやすい構造的な現象です。

目次

兼務体制で起きがちな現象

立ち上げは重要だが緊急ではない

新規事業は、ほとんどの場合「重要」です。
将来の柱になる可能性があり、
会社としても意味がある取り組みです。

ただし、緊急ではないことが多い。

・今日やらなくても大きな問題は起きない
・締切が明確に決まっていない
・多少遅れても怒られない

一方、通常業務は違います。
クレーム対応、納期、トラブル。
「今日やらないと困ること」が次々に発生します。

いつの間にか時間が取れなくなる

兼務体制では、
重要だが緊急ではない新規事業よりも、
緊急度の高い通常業務が優先されます。

最初は
「忙しい中でも少しずつ進めよう」
と思っていても、

・今週は急ぎの案件が多くて
・月末でバタバタしていて
・一度落ち着いてからまとめて

こうした理由が積み重なり、
新規事業に使える時間が少しずつ削られていきます。

緊急度と重要度の逆転

火消しが優先される構造

人は、緊急度の高い仕事を優先します。
これは個人の性格ではなく、人間の特性です。

新規事業は、
「火が出ていない」状態が続きます。

問題が顕在化していないため、
後回しにしてもすぐに困らない。

結果として、
火消し的な仕事ばかりに時間が使われ、
将来に向けた取り組みは後景に追いやられます。

重要な仕事が後回しになる理由

新規事業が後回しになるとき、
担当者はサボっているわけではありません。

むしろ、
「目の前の仕事をきちんとやっている」
結果として、そうなっています。

ここで起きているのは、
重要度と緊急度の逆転です。

この逆転を、個人の努力だけで覆すのは難しい。

立ち上げ案件が後回しになる理由

誰も守る人がいない

通常業務には、守る仕組みがあります。

・締切
・顧客
・上司からの確認

一方、新規事業には
「今週これをやらないと困る人」がいないことが多い。

担当者が忙しくなれば、
自然と後回しになります。

守る人がいない仕事は、
優先順位が下がりやすい。

進捗が見えないまま消える

新規事業は、
進捗が数字で見えにくい初期フェーズが続きます。

・検討中
・整理中
・関係者と調整中

こうした状態が続くと、
外から見て「止まっているのか、進んでいるのか」が分かりません。

結果として、
気づいたときには話題に上らなくなり、
静かに消えていくことがあります。

初期フェーズを守る仕組み

稼働枠を確保する(時間の予算化)

新規事業が通常業務に飲み込まれないためには、
「やる気」ではなく「仕組み」が必要です。

一つは、時間をあらかじめ確保すること。

・週に何時間
・この時間帯は新規事業用

こうした稼働枠を決めるだけでも、
新規事業は守られやすくなります。

時間を「余ったら使うもの」にしない。
これが重要です。

意思決定と進行の定例化

もう一つは、定例の場を持つことです。

・進捗を確認する
・次に決めることを明確にする
・止まっている理由を整理する

定例があることで、
「次に何をするか」が常に意識されます。

止まっている状態も可視化されるため、
自然消滅しにくくなります。

推進役が必要な理由

通常業務に飲まれない推進設計

推進役がいるプロジェクトでは、
新規事業が「片手間」になりにくい。

推進役は、
・進めるための時間を意識し
・決めるべき論点を整理し
・止まりそうな兆候を拾います

その結果、
通常業務に押し流される前に、
立て直す余地が生まれます。

役割としてのPMが守るもの

プロダクトマネージャーや推進役は、
作業をする人ではありません。

守っているのは、
・新規事業の優先順位
・進めるための枠
・意思決定の流れ

この役割があるだけで、
担当者は「全部自分で守らなくていい」状態になります。

まとめ

新規事業が通常業務に飲み込まれるのは、
珍しいことではありません。

重要だが緊急ではない。
兼務体制で守る人がいない。
進捗が見えにくい。

この条件がそろうと、
どんな組織でも起きやすい現象です。

もし今、
「気づいたら新規事業に時間を使えていない」
と感じているなら、

それは意識や熱量の問題ではなく、
仕組みの問題かもしれません。

新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。

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