新規事業や新規プロダクトの立ち上げに関わっていると、
誰かに相談しようとして、言葉に詰まる瞬間があります。
「困ってはいる」
「このままでは良くない気がする」
「でも、何をどう聞けばいいのか分からない」
資料もある。会議もしている。
外注先や関係者ともやり取りは続いている。
それでも、どこか前に進んでいない感覚だけが残る。
この状態は、決して珍しいものではありません。
ただ、新規事業においては、
この「何が分からないか分からない」状態が長く続くことが、
最もリスクになりやすい局面でもあります。
相談内容が曖昧なまま進む問題
何を相談すればいいか分からない
新規事業の相談では、
最初から論点が整理されているケースの方が少数です。
・方向性について聞きたい気がする
・進め方が不安な気がする
・誰かに見てもらいたい気もする
ただ、それが「何についての相談なのか」は、
本人にもはっきりしていないことがあります。
その結果、
「全体的にどう思いますか」
「何かアドバイスありますか」
といった、抽象的な相談になりやすくなります。
とりあえず動いて迷走する
相談が曖昧なままだと、
行動も曖昧になります。
・とりあえず作る
・とりあえず調整する
・とりあえず会議を重ねる
動いてはいるものの、
どこに向かっているかが分からない。
結果として、
「忙しいが、整理されていない」
という状態に陥りやすくなります。
分からないことが言語化できない状態
不安の正体が見えない
この段階で感じている不安は、
多くの場合、漠然としています。
・判断を間違えている気がする
・このままでいいのか分からない
・どこかで大きな見落としがある気がする
ただ、その不安が
「何に対するものか」は見えていません。
不安が言語化できないと、
相談も、判断も、先送りになりやすくなります。
論点が散らばっている
新規事業の初期フェーズでは、
論点が同時多発的に存在します。
・市場
・顧客
・価値
・体制
・スケジュール
・予算
これらが整理されないまま並んでいると、
どれが今の論点なのかが分からなくなります。
結果として、
話題は出るが、結論が出ない。
決めた気になるが、前に進まない。
そんな状態が続いていきます。
初期整理の重要性
論点を棚卸しする
この状態から抜けるために、
最初に必要なのは「答え」ではありません。
必要なのは、
今どんな論点が存在しているのかを、
一度、棚卸しすることです。
・今、決められていないこと
・不安に感じていること
・判断を保留していること
これらを並べるだけでも、
頭の中の混線は少しずつ解けていきます。
決める順番をつくる
すべてを一度に決める必要はありません。
むしろ、それは難しい場面がほとんどです。
重要なのは、
「今、何から決めるべきか」
「今は決めなくていいことは何か」
を切り分けることです。
決める順番が見えると、
相談の形も自然と具体的になります。
問いを立てる役割
問いがないと検証できない
新規事業では、
正解を探すよりも、
問いを立てることの方が重要になる場面があります。
・本当に解くべき課題は何か
・誰にとっての価値なのか
・今、何を確かめたいのか
問いが曖昧なままでは、
検証も、学びも、積み上がりません。
良い問いが前進を生む
問いが定まると、
次の一歩が見えやすくなります。
・この仮説を確かめる
・この反応を見る
・この前提を疑う
問いは、
行動を縛るものではなく、
行動を前に進めるための軸になります。
PMが最初にやるべき仕事
進め方の設計
初期フェーズにおける
プロダクトマネージャーや推進役の役割は、
答えを出すことではありません。
まず行うのは、
「どう進めるか」を整理することです。
・今は検討フェーズなのか
・検証フェーズなのか
・意思決定フェーズなのか
進め方が見えるだけで、
関係者の迷いは減っていきます。
判断軸の整理
次に必要なのは、
判断の軸を揃えることです。
・何を優先するのか
・何を後回しにするのか
・何を基準に判断するのか
これが整理されていないと、
同じ議論を繰り返すことになります。
一歩目の実行計画
最後に必要なのは、
大きな計画ではなく、
「一歩目」が何かを明らかにすることです。
・次にやること
・確認すること
・決めること
一歩目が見えると、
「分からない状態」は、
「進みながら考える状態」に変わっていきます。
まとめ
新規事業の相談で、
「何が分からないか分からない」状態にあるとき、
人は動いているようで、実は止まっています。
それは、能力や経験の問題ではなく、
構造的に起きやすい状態です。
・論点が整理されていない
・問いが立っていない
・決める順番が見えていない
こうした状況では、
不安だけが先に膨らんでいきます。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。
それだけでも、
「分からない状態」は、
少しずつ形を持ちはじめます。
