「AIを入れたのに、あまり変わらない」
「便利なツールを導入したはずなのに、結局進まない」
新規事業の現場で、こうした声を聞くことは珍しくありません。
むしろ、期待値が高かった分だけ、落差を強く感じているケースもあります。
・作業は多少楽になった
・資料作成のスピードは上がった
・情報収集はしやすくなった
それでも、
事業として前に進んでいる感覚がない。
この状態に陥ると、
「もっと使いこなせていないのでは」
「別のツールを入れた方がいいのでは」
と、次の手段を探し始めがちです。
ただ、多くの場合、
問題はAIやツールそのものではありません。
導入前の土台が整っていないことが原因になっています。
ツール導入が解決にならない理由
問題が整理されていないまま導入する
AIやツールは、
「何を効率化したいのか」が明確なほど効果を発揮します。
一方で、新規事業の初期フェーズでは、
・どこで詰まっているのか
・何が決まっていないのか
・どの判断が重いのか
こうした整理が十分でないまま、
「とりあえずAIを入れてみる」
という判断が起きやすくなります。
その結果、
ツールは動いているのに、
肝心の判断や前進は何も変わらない、
という状態になります。
使うことが目的化する
ツール導入後、よく起きるのが、
「使っているかどうか」が話題の中心になることです。
・ログインしているか
・アウトプットが出ているか
・活用事例が共有されているか
これ自体は悪いことではありません。
ただ、いつの間にか、
「このツールで、何を前に進めるのか」
という問いが、
後ろに追いやられてしまうことがあります。
使っていること自体が安心材料になり、
本来向き合うべき判断が先送りされていきます。
AIで加速する前提条件
目的と判断軸が明確
AIやツールが力を発揮するのは、
「何を決めるために使うのか」が明確な時です。
・どの仮説を検証したいのか
・どの選択肢を比較したいのか
・次の一歩を決める材料は何か
判断軸がはっきりしていれば、
AIは思考を補助し、
意思決定を速める役割を果たします。
逆に、
判断軸が曖昧なままだと、
情報量だけが増え、迷いが深くなります。
情報が整っている
AIは、
整理された情報を前提に使うほど価値が高まります。
・前提条件
・これまでの決定事項
・今残っている論点
これらが整理されていないと、
AIが出すアウトプットも、
使いどころの分からないものになります。
「正しそうだけど、今それが必要か分からない」
という状態です。
判断が整理されていない問題
何を決めるかが曖昧
新規事業が止まっている現場を見ていると、
「何を決めるフェーズなのか」が
曖昧なケースが多くあります。
・今日はアイデアを出すのか
・方向性を決めたいのか
・次の検証に進むかどうかを判断するのか
これが曖昧なままAIを使っても、
アウトプットは増える一方で、
決定は一つも増えません。
優先順位がない
AIは、
優先順位を決める代わりにはなりません。
・今は精度よりスピードを重視するのか
・今は検証範囲を広げるのか、絞るのか
・今決めるべきことと、後でいいことは何か
こうした優先順位が整理されていないと、
AIが出す答えをどう扱えばいいのか、
誰も判断できなくなります。
人が決める部分の重要性
仮説の置き方
新規事業の初期フェーズでは、
AIが出す答えよりも、
どんな仮説を置くかの方が重要です。
・この仮説は何を確かめたいのか
・外れた場合、何が分かるのか
仮説の置き方は、
人の思考と経験に依存します。
AIは、その仮説を検証する補助役です。
撤退や方向転換の判断
「続けるか、止めるか」
「方向を変えるか、深掘りするか」
こうした判断は、
AIに委ねられるものではありません。
組織として、
どこまで許容するのか。
何をもって前に進んだとするのか。
この判断を人が引き取らない限り、
AIやツールは、
ただの作業効率化ツールに留まります。
PMが整えるべき土台
進め方・意思決定・運用設計
プロダクトマネージャーや推進役が担うのは、
AIを使うことではありません。
・どういう順番で進めるのか
・どこで判断するのか
・誰が決めるのか
こうした進め方そのものを設計することです。
この土台があるからこそ、
AIやツールは「加速装置」として機能します。
ツールを成果につなげる前提づくり
ツール導入がうまくいっている現場では、
次の状態が整っています。
・決めるべき論点が見えている
・判断の責任者が明確
・決まったことが次の行動に落ちている
この状態があって初めて、
AIのアウトプットが
「前に進むための材料」になります。
まとめ
新規事業にAIやツールを入れても進まない時、
それは能力や努力の問題ではありません。
・何を決めたいのか
・どこで詰まっているのか
・誰が判断を引き取るのか
この土台が整っていないままでは、
どんなに優れたツールを入れても、
前進にはつながりにくくなります。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「AIを入れたのに進まない」と感じているなら、
一度、ツールの前に判断と進め方の整理をしてみることも、
選択肢のひとつです。
それだけで、
少し前に進めそうな感触が戻ってくることもあります。
