新規事業の相談が「もっと早ければよかった」と言われる理由

新規事業の相談を受けていると、
打ち合わせの終盤で、こんな言葉を聞くことがあります。

「これ、もっと早く相談していれば違いましたね」

相談した側が後悔している、というよりも、
「ここまで来る前に整理できたことが多かった」
という実感に近いものです。

ただ、相談が遅れること自体は珍しくありません。
むしろ、多くの新規事業で起きている現象です。

目次

多くの相談が遅れる背景

もう少し形にしてからという心理

新規事業の責任者ほど、
「もう少し考えがまとまってから」
「ある程度、形にしてから」
そう考えがちです。

構想段階で相談するのは、
・話が散らかっている気がする
・うまく説明できない気がする
・時間を取らせてしまう気がする

こうした心理が、相談を先延ばしにします。

結果として、
考えが整理されないまま時間だけが過ぎる
という状態に入りやすくなります。

外部に話すハードル

社内であれば、
多少曖昧な話でも共有できます。

一方、外部に相談するとなると、
・きちんと説明しなければ
・判断材料を揃えなければ
という意識が働きます。

その準備をしているうちに、
相談のタイミングを逃してしまう。
これもよくある構造です。

自分たちで何とかしようとする心理

内製主義で抱え込む

新規事業は、
「自分たちの事業」
「自分たちが考えた構想」
という意識が強くなりやすい分、
外に出すこと自体に抵抗が生まれます。

・まだ外に出す段階ではない
・もう少し社内で詰めたい

そうして抱え込むほど、
判断や調整の負荷は内部に集中していきます。

相談=弱さだと思ってしまう

相談することを、
「自信がない証拠」
「準備不足」
と感じてしまう人も少なくありません。

特に責任者の立場では、
「ちゃんと進められていないと思われたくない」
という無意識のブレーキがかかります。

ただ、初期フェーズにおいては、
迷いや不確実性があるのが前提です。

相談が遅れる理由は、
能力の問題ではなく、構造的な心理にあります。

早期に整理できたはずの論点

相談が遅れたプロジェクトを振り返ると、
多くの場合、次のような論点が後回しになっています。

誰が決めるか

・最終判断は誰か
・どこまで現場で決めてよいか
・経営判断に上げるラインはどこか

ここが曖昧なまま進むと、
途中で必ず止まります。

初期に整理できていれば、
迷い続ける必要はなかった論点です。

何を優先するか

・スピード
・検証
・収益性
・将来性

すべてを同時に満たすことはできません。
にもかかわらず、優先順位が決まらないまま進むと、
判断が毎回ぶれます。

これも、早い段階で言語化できるテーマです。

どこまで決めれば動けるか

新規事業では、
「全部決めてから動く」ことはできません。

・今、決めること
・後で決めること
・決めなくていいこと

この切り分けができていないと、
準備ばかりで前に進めなくなります。

初期相談の本当の価値

進め方を決められる

初期の相談で扱うのは、
施策や手法ではありません。

・どういう順番で考えるか
・どこで判断するか
・どこまで曖昧さを許容するか

進め方そのものを整理することが、
初期相談の価値です。

進め方が決まると、
個々の判断が軽くなります。

手戻りを減らせる

多くの手戻りは、
「決めずに進んだこと」
「決めたつもりだったこと」
が原因で起きます。

早い段階で論点を整理しておくと、
後から戻らざるを得ない場面が減ります。

これは結果論ではなく、
構造的な話です。

相談の適切なタイミングとは

迷いが出た時点がベスト

・判断に時間がかかり始めた
・会議が増えたが決まらない
・同じ話題を繰り返している

こうした兆しが出た時点は、
すでに「相談が早すぎる」状態ではありません。

むしろ、ちょうどいいタイミングです。

動かない期間が出る前に

一度止まってしまうと、
相談の内容は「立て直し」に近づきます。

それ自体が悪いわけではありませんが、
整理できる範囲は広がります。

動かない期間が長くなる前に、
状況を一度言語化するだけでも、
見える景色は変わります。

まとめ

新規事業の相談が
「もっと早ければよかった」と言われる理由は、
解決が遅れたからではありません。

整理できたはずの論点が、
整理されないまま積み上がっていたから
です。

初期フェーズにおける相談は、
答えをもらう場ではありません。
考えを整えるための場です。

新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。

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