新規事業に関わっていると、
こんな感覚に包まれることがあります。
「致命的な問題は起きていない」
「クレームも少ないし、数字も大きく落ちてはいない」
「でも、手応えがない」
失敗しているわけではない。
かといって、良くなっている実感もない。
どこかで足踏みしているような状態です。
この状況は、外から見ると「安定」に見えることがあります。
しかし内側にいると、
この停滞感がじわじわと効いてきます。
大きな失敗はないが前進もしない
小さくまとまってしまう状態
「悪くない」という評価は、
新規事業にとって必ずしもポジティブとは限りません。
・誰からも強く反対されない
・無難にまとめている
・リスクを極力避けている
こうした状態は、
新規事業が“小さくまとまる”典型です。
目立った失敗は起きません。
しかし、同時に大きな前進も起きません。
攻めの意思決定が起きない
新規事業が伸びる局面では、
必ずどこかで「攻めの判断」が入ります。
・対象を絞る
・方向を切り替える
・一部を捨てる
ところが「悪くない」状態では、
こうした判断が先送りされがちです。
結果として、
プロジェクトは現状維持に近づいていきます。
判断を避け続ける構造
決めないことが安全になる
停滞している新規事業をよく見ると、
判断が減っていることに気づきます。
・決定事項が増えない
・会議では確認や共有が中心
・結論は「もう少し様子を見る」
これは怠慢ではありません。
むしろ「安全な選択」を積み重ねた結果です。
決めないことは、
短期的にはリスクを回避できます。
変化が起きない運用
判断が減ると、
運用は安定します。
しかしその安定は、
「変化が起きない」ことと表裏一体です。
・仮説が更新されない
・学習が止まる
・手応えのない作業が続く
こうして、
新規事業は静かに停滞していきます。
現状維持が選ばれる理由
失敗できない空気
「悪くないが良くもない」状態の裏には、
失敗できない空気があります。
・次は失敗できない
・これ以上の挑戦は怖い
・失敗した時の説明が難しい
この空気は、
誰かが意図的につくっているわけではありません。
組織の中で、
少しずつ醸成されていきます。
経営判断が遠い
もう一つの要因は、
経営判断が現場から遠いことです。
・現場で決められない
・上に上げるほど時間がかかる
・結果、判断自体を避ける
判断の距離が遠いほど、
現場は「決めない運用」に寄っていきます。
初期フェーズで必要な決断
捨てる・絞る・変える
新規事業の初期フェーズで必要なのは、
必ずしも「正しい判断」ではありません。
むしろ重要なのは、
決断そのものです。
・やらないことを決める
・対象を絞る
・仮説を置き直す
これらは、
どれも不安を伴います。
しかし、
決断がなければ前進もありません。
勝ち筋を作るための選択
「全部を少しずつ良くする」よりも、
「一部に賭ける」方が、
新規事業では学びが大きくなります。
捨てることは、
失敗ではありません。
勝ち筋を見つけるための、
必要な選択です。
停滞を抜けるための視点
仮説の置き直し
停滞しているときほど、
一度立ち止まって仮説を見直す価値があります。
・誰の課題を解こうとしているのか
・何を検証するフェーズなのか
・今の取り組みは、その仮説に沿っているか
答えを出す必要はありません。
問い直すだけでも、
視界は変わります。
推進役が決断を前に進める
停滞を抜けるには、
決断を前に進める役割が必要です。
プロダクトマネージャーや推進役は、
正解を持っている存在ではありません。
・論点を整理する
・選択肢を見える形にする
・決めるための材料を揃える
こうした働きがあることで、
決断は少し現実的になります。
まとめ
新規事業が
「悪くはないが、良くもならない」状態に陥るのは、
珍しいことではありません。
それは、
個人の能力不足ではなく、
判断を避け続ける構造の結果です。
・決めないことが安全になる
・現状維持が選ばれる
・変化が起きなくなる
この流れに気づけた時点で、
次の一手を考える余地はあります。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「悪くないのに伸びない」と感じているなら、
一度、今の状況を整理してみることも選択肢のひとつです。
それだけで、
停滞の正体が少し見えやすくなることがあります。
