新規事業や新規プロダクトの立ち上げに関わっていると、
ふと、こんな感覚にぶつかることがあります。
「動いていないのは、誰かのやる気の問題なのではないか」
「もう少しスピード感を持ってくれれば進むのに」
はっきり口には出さなくても、
会議の後や、ひとりで資料を見返しているときに、
そんな考えが頭をよぎる。
ただ同時に、
それを誰かのせいにしていいのか分からない、
という引っかかりも残ります。
実際、多くの現場で起きている停滞は、
特定の「人」の問題ではありません。
構造として起きやすい状態が、
たまたま「人の問題」に見えているだけ、というケースが少なくありません。
この記事では、
プロジェクトが前に進まない理由を、
人ではなく構造の話として整理していきます。
答えを出すためではありません。
今感じている違和感を、言葉にするための時間として読んでもらえれば十分です。
よくある「人の問題」に見える症状
モチベーションが低いように見える
プロジェクトが停滞していると、
メンバーの発言が減ったり、反応が鈍くなったりします。
その様子を見ると、
「温度感が低いのではないか」
「本気度が足りないのではないか」
と感じてしまうことがあります。
ただ、この状態は、
やる気がないから起きているとは限りません。
何を目指しているのか。
どこまで自分が踏み込んでいいのか。
それが見えないと、人は自然と慎重になります。
動きが遅いと感じる瞬間
判断に時間がかかる。
確認が何度も入る。
一度決まった話が、また差し戻される。
こうした状況が続くと、
「動きが遅い」という印象を持ちやすくなります。
しかし、
判断基準や責任範囲が整理されていない中では、
速く動くことのほうがリスクになります。
遅さは、
慎重さの裏返しであることも多いのです。
実際は構造の問題である理由
役割と責任の不在
プロジェクトが前に進まない現場では、
役割と責任が曖昧なまま進んでいることがよくあります。
誰が最終判断をするのか。
誰が調整を引き受けるのか。
どこまで各自が決めていいのか。
これが言語化されていないと、
人は判断を避けるようになります。
これは能力の問題ではありません。
役割が定義されていない状態で、
無理に動かないのは自然な反応です。
判断ルールがない状態
もうひとつ多いのが、
判断ルールが存在しないケースです。
何を基準に進めるのか。
どの観点を優先するのか。
意見が割れたとき、どう決めるのか。
このルールがないと、
どんなに意見が出ても、決まりません。
結果として、
「誰も決めない」という状態が生まれます。
役割不在が生む停滞
誰も決められない構造
意思決定が必要な場面は、
初期フェーズほど頻繁に訪れます。
ただ、
決める人が明確でない場合、
全員が遠慮し、全員が様子を見る。
結果として、
誰も決めない構造が出来上がります。
この状態では、
優秀な人が揃っていても、
プロジェクトは動きにくくなります。
善意が逆に止める
停滞している現場ほど、
メンバーは真剣です。
関係者に配慮する。
失敗を避けようとする。
全員の納得を大切にする。
その善意が重なり合うことで、
判断のハードルが上がり、
一歩目が踏み出せなくなることがあります。
誰も悪くありません。
善意が噛み合っていないだけです。
調整と合意形成の重要性
全員納得と前進は別
新規事業の現場では、
「全員が納得してから進みたい」という声をよく聞きます。
ただ、
全員納得と前進は、必ずしも同じではありません。
初期フェーズでは、
不完全なまま進むことが前提になる場面も多くあります。
納得を待つことが、
結果的に停滞を生むこともあります。
整理役の必要性
ここで重要になるのが、
整理役の存在です。
意見を集める人。
判断材料を整理する人。
決めるための形を整える人。
プロダクトマネージャーや推進役は、
答えを出す人ではありません。
判断できる状態を作る人です。
この役割があるだけで、
プロジェクトは前に進みやすくなります。
外部PMが機能するケース
内部調整が難しい時
内部メンバーだけで進めていると、
立場や関係性が判断を難しくすることがあります。
言いにくいことがある。
遠慮が生まれる。
責任を押し付けたくない空気が漂う。
こうした状況では、
構造そのものを見直すことが難しくなります。
第三者が入る価値
第三者が入ることで、
人ではなく構造に目を向けやすくなります。
誰が悪いのか、ではなく、
どこで止まっているのか。
外部の推進役が機能するのは、
この視点を持ち込めるときです。
無理に変えるのではなく、
整理することで、次の一歩が見えてくることもあります。
まとめ
プロジェクトが前に進まないとき、
原因を「人」に求めてしまうのは自然なことです。
ただ、多くの場合、
それは個人の問題ではなく、
役割や判断の構造が整理されていないことによって起きています。
もし今、
「誰かのせいにしてしまいそうだ」と感じているなら、
一度、構造の話として見直してみる。
それもひとつの選択肢です。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。
