新規事業の打ち合わせで、
こんな光景に心当たりはないでしょうか。
企画を説明すると、
「いいですね」「問題ないと思います」という反応が返ってくる。
明確に反対する人はいません。
それなのに、
数週間たっても何も進んでいない。
次の会議でも、同じ話をもう一度している。
誰も止めていないはずなのに、
なぜかプロジェクトは前に進まない。
この記事では、
新規事業が進まないときに起きがちな
「反対はないのに止まっている」状態を、
個人の姿勢ではなく、構造の問題として整理します。
表面上は全員賛成なのに進まない状態
会議では賛成、行動は起きない
会議の場では、
強い反対意見が出ることはありません。
否定的な空気もなく、
むしろ前向きな言葉が並びます。
それでも、
会議が終わった瞬間から、
次のアクションが生まれない。
「誰かが何かを始める」
という流れにならないまま、
時間だけが過ぎていきます。
誰も止めていないのに止まる現象
この状態は、
一見すると不思議に見えます。
反対がないなら、
自然と前に進みそうだからです。
しかし、新規事業の初期フェーズでは、
「反対がないこと」と
「進むこと」は別物になりやすい。
ここに、
多くのプロジェクトがはまる落とし穴があります。
反対がない=前進ではない理由
賛成の言葉と責任は別
会議での「賛成」は、
必ずしも行動の約束ではありません。
特に新規事業では、
結果が見えない段階が長く続きます。
そのため、
賛成の言葉は出しやすくても、
責任を伴う判断は慎重になります。
「悪くはないと思う」
「方向性としては理解できる」
こうした言葉は、
賛成に聞こえますが、
実行責任を引き受けたわけではありません。
「誰がやるか」が決まっていない
反対がないのに進まない最大の理由は、
「誰がやるか」が決まっていないことです。
決定事項が曖昧なまま、
次の工程に進もうとする。
その結果、
全員が様子見の状態になります。
誰かが動くのを待っている。
けれど、その「誰か」がいない。
この状態では、
反対がなくても前進は起きません。
暗黙の保留が生まれる構造
結論を先延ばしにする空気
新規事業の会議では、
はっきり「保留」と言わずに、
結論を先延ばしにすることがあります。
「もう少し情報を集めてから」
「次回また整理しましょう」
こうした言葉が重なると、
決断しないことが常態化します。
誰も反対しない。
しかし、誰も決めない。
これが「暗黙の保留」です。
反対しないが決めない心理
反対しない理由は、
必ずしも無関心だからではありません。
むしろ、
リスクを理解しているからこそ、
決めきれない場合もあります。
新規事業は不確実性が高い。
決めた後に問題が起きる可能性も高い。
そのため、
「反対しない」という選択を取りつつ、
「決めない」という態度が残ります。
この心理が、
組織としての停滞を生みます。
意思決定を止めている正体
判断材料が整理されていない
多くの場合、
決められない原因は
情報不足そのものではありません。
論点が整理されていないことです。
何を決める必要があるのか。
今決めるべきことと、
後でいいことは何か。
これが曖昧なままでは、
判断は重くなります。
結果として、
「もう少し検討」が繰り返されます。
決めた後の責任が重い
新規事業では、
意思決定の影響範囲が見えにくい。
そのため、
決断した後の責任を
過剰に重く感じやすくなります。
特に初期フェーズでは、
正解が分からない前提で進む必要があります。
それでも、
組織の中では
「決めた人」が目立ちやすい。
この構造が、
無意識のうちに
決断を避ける方向へ働きます。
動かすために必要な役割
論点整理と判断の設計
反対がないのに進まない状況では、
新しいアイデアよりも、
整理の役割が重要になります。
何を決める場なのか。
選択肢は何か。
判断基準はどこに置くのか。
こうした点を明確にすることで、
初めて「決められる状態」が生まれます。
推進役(PM)が入る意味
この整理と判断の設計を担うのが、
推進役の役割です。
推進役は、
賛成か反対かを表明する人ではありません。
論点を言語化し、
決断を現実的なものにする存在です。
誰も反対していないのに進まない時、
足りていないのは
熱量や賛同ではなく、
「決めるための構造」であることが多い。
まとめ
新規事業が進まない時、
必ずしも反対意見が原因とは限りません。
むしろ、
反対がないからこそ、
暗黙の保留が生まれ、
動けなくなるケースもあります。
大切なのは、
誰が悪いかを探すことではなく、
何が決まっていないのかを整理することです。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。
