新規事業や新規プロダクトの立ち上げに関わっていると、
こんな会話が出てくることがあります。
「外部の人に任せるのは少し不安だ」
「内部の事情は、やはり社内の人間が一番分かっている」
「権限の線引きが難しそうだ」
その感覚自体は、とても自然です。
特に初期フェーズでは、まだ形が定まっておらず、
判断の一つひとつが事業の方向性に直結します。
だからこそ、
外部PMを入れることに慎重になる会社は少なくありません。
一方で、
実際に立ち上げが停滞している現場を見ていくと、
「外部を入れないこと」そのものが、
進まなさの一因になっているケースもよくあります。
外部に任せることへの不安
内部の事情を分かってもらえない懸念
外部PMに対して、
最初に出やすい不安はここです。
「うちの業界の特殊性を分かってもらえないのでは」
「社内の力関係や背景事情を理解してもらえないのでは」
これは、過去に
表面的な提案だけで終わった外注経験があるほど、
強くなりやすい感覚です。
新規事業は、
資料に書かれていない前提や暗黙知が多く、
それを知らない人が入ることに
違和感を覚えるのは無理もありません。
権限を渡す怖さ
もう一つは、
「どこまで任せるのか分からない」という不安です。
・意思決定に口を出されるのでは
・現場を引っ掻き回されるのでは
・責任の所在が曖昧になるのでは
外部PMという言葉から、
「権限を丸ごと渡す存在」を想像してしまうと、
抵抗感が生まれやすくなります。
ただ、この不安が強い会社ほど、
別の構造的な問題を抱えていることが多いです。
内部だけで抱え込む構造
相談できずに遅れる意思決定
外部を入れない選択をすると、
判断と調整はすべて内部で完結します。
その結果、
こんな状態になりやすくなります。
・判断に迷っても相談先がない
・上に確認するほど話が大きくなる
・決めるまでに時間がかかる
誰かがサボっているわけではありません。
ただ、意思決定の負荷が
限られた人に集中していきます。
属人化して疲弊する
内部で抱え込む構造では、
自然と「できる人」「分かっている人」に
仕事が寄っていきます。
・調整
・論点整理
・関係者説明
これらは表に見えにくく、
評価もされにくい仕事です。
それでも、
誰かがやらなければ進まない。
結果として、
特定の担当者や責任者が疲弊し、
プロジェクト全体の推進力が落ちていきます。
第三者視点が効くポイント
空気に飲まれず論点を出せる
外部PMが価値を発揮しやすいのは、
「正解を出すこと」ではありません。
・何が決まっていないのか
・どこで止まっているのか
・今、決める必要がある論点は何か
これを、
社内の空気に左右されずに
言語化できる点にあります。
内部にいると、
「言いにくいこと」
「今さら触れづらい前提」が増えていきます。
第三者は、
その空気に巻き込まれにくい立場です。
経営と現場の橋渡しができる
新規事業では、
経営と現場の距離が
知らないうちに広がりがちです。
・経営は全体最適を見ている
・現場は目の前の進行で手一杯
外部PMは、
どちらの利害にも直接は属さないため、
両者の言葉を翻訳する役割を担えます。
「どちらが正しいか」を決めるのではなく、
「どうすれば前に進めるか」を
構造として整理する。
この立ち位置は、
内部の人間だけでは取りにくいことがあります。
権限と距離感の設計
何を任せ、何を社内で決めるか
外部PMを入れる際に重要なのは、
丸投げか、完全分業か、
という二択ではありません。
・最終判断は誰がするのか
・外部が担うのは整理か、推進か
・決定事項と相談事項の線引き
これを最初に言語化しておくことで、
不安の多くは軽減されます。
外部PMは、
「決める人」ではなく
「決められる状態を作る人」として
機能するケースも多いです。
役割と責任を明確にする
役割が曖昧なまま外部を入れると、
確かに混乱は起きやすくなります。
だからこそ、
次のような整理が有効です。
・外部PMの責任範囲
・社内責任者の判断領域
・衝突した時の解決ルート
これは信頼の問題ではなく、
構造の問題です。
最初に線を引いておくことで、
後からの摩擦を減らせます。
外部PMが機能する条件
目的と判断者が明確
外部PMが力を発揮できないケースには、
共通点があります。
・事業の目的が曖昧
・誰が最終判断者か分からない
・相談しても決まらない
この状態では、
内部であっても外部であっても、
推進は難しくなります。
外部PMは、
その不明瞭さを浮き彫りにしますが、
代わりに決めてくれる存在ではありません。
推進役として現場に入れる環境
外部PMを
「資料作成担当」や
「壁打ち相手」に留めてしまうと、
価値は限定的になります。
・会議に同席できる
・現場の進行を見られる
・調整に関与できる
こうした環境があって初めて、
推進役として機能します。
距離が近すぎても、遠すぎても難しい。
このバランスを取ることが、
外部PM活用のポイントです。
まとめ
外部PMに抵抗を感じる会社ほど、
内部で多くのものを抱え込んでいます。
・判断
・調整
・責任
・不安
それらを「社内で完結させること」が、
必ずしも強さにつながるわけではありません。
外部PMは、
事業を乗っ取る存在でも、
正解を押し付ける存在でもありません。
構造を整理し、
前に進むための余白を作る役割です。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「自分たちだけで抱えすぎている気がする」と感じているなら、
一度、役割と推進の形を整理してみることも選択肢のひとつです。
それだけで、
次の一歩が見えやすくなることがあります。
