プロジェクトが止まった瞬間、
現場には独特の空気が流れます。
「最近、進捗どうなってる?」
「一度、体制を見直したほうがいいかも」
「とにかく何か動かさないとまずい」
誰かが悪いわけではありません。
ただ、止まっているという事実だけが、
じわじわと不安を広げていきます。
その結果、
“早く立て直さなければ”という焦りから、
かえって状況を悪化させる判断が取られてしまうことがあります。
この記事では、
プロジェクトが止まったときに
ついやってしまいがちだが、実は逆効果になりやすい立て直し方を、
構造の視点から整理していきます。
止まった瞬間に起きがちな判断
とりあえず会議を増やす
プロジェクトが止まると、
まず増えるのが会議です。
・進捗確認ミーティング
・課題洗い出し会
・関係者全員参加の打ち合わせ
「話し合えば何か見えるはず」
という期待から、
スケジュールが会議で埋まっていきます。
ただ実際には、
止まっている理由が整理されていないまま会議だけが増える
という状況に陥りがちです。
会議が増えても、
決まることは増えない。
それどころか、
「まだ決まらない」という実感だけが強まります。
体制変更や人員追加を急ぐ
次に多いのが、
体制を変えるという判断です。
・新しいメンバーを入れる
・責任者を増やす
・別部署を巻き込む
これも一見、前向きな対応に見えます。
ただ、止まっている原因が不明確なまま体制を変えると、混乱が増える
というケースは少なくありません。
「誰が何を判断するのか」が、
さらに分かりにくくなることもあります。
テコ入れが逆効果になる例
役割が増えて責任が薄まる
人を増やすと、
安心感は生まれます。
ただ同時に、
役割が曖昧なまま人数だけが増えると、
責任の所在がぼやけます。
・これは誰が決めるのか
・最終判断はどこなのか
こうした問いに、
誰も明確に答えられなくなります。
結果として、
「みんなで考えているが、誰も決めていない」
状態が強化されてしまいます。
意思決定がさらに遅くなる
会議や関係者が増えると、
合意形成に時間がかかります。
・全員の意見を聞く
・反対が出ないように調整する
こうした配慮自体は悪いものではありません。
ただ、止まっているプロジェクトにおいては、
意思決定のスピードがさらに落ちることにつながります。
「慎重に進めているつもりが、何も進まない」
という状態です。
立て直しの優先順位
止まったプロジェクトを立て直すとき、
最初にやるべきことは、
何かを足すことではありません。
まずは、整理の順番を間違えないことが重要です。
1:止まっている原因の特定
「なぜ止まっているのか」
これを曖昧なままにすると、
どんなテコ入れも的外れになります。
・判断が出ていない
・前提が揃っていない
・役割が曖昧
多くの場合、
作業が止まっているのではなく、
意思決定が止まっています。
2:論点の整理
原因が見えてきたら、
次に必要なのは論点の整理です。
・今、決めるべきことは何か
・今は決めなくていいことは何か
この切り分けができていないと、
議論が拡散し続けます。
3:判断と次アクションの固定
最後に、
「何を決めたのか」
「次に何をするのか」
を固定します。
ここまで来て初めて、
プロジェクトは再び動き始めます。
まず整理すべき論点
何が未決定なのか
止まっているプロジェクトでは、
「決まっているようで決まっていないこと」
が多く存在します。
・方向性
・優先順位
・判断基準
これらを、
未決定事項として明示することが第一歩です。
どこで詰まっているのか
作業が止まっている箇所と、
判断が止まっている箇所は、
必ずしも一致しません。
・上に上げたまま戻ってこない
・関係者間で合意が取れていない
詰まりポイントを特定しないまま進めると、
同じ場所で何度も止まります。
誰が決めるのか
最後に重要なのが、
「誰が決めるのか」です。
これが曖昧なままでは、
どれだけ議論しても前に進みません。
決定権者を明確にすることは、
誰かを責めることではありません。
進めるための前提条件です。
PM視点でのリカバリー方法
進行を再設計する
プロジェクトマネージャーや推進役が入る場合、
まず行うのは進行の再設計です。
・どの順番で何を決めるのか
・どこまで決めれば次に進めるのか
この設計があるだけで、
議論は整理されやすくなります。
決定事項を固定し、手戻りを止める
立て直しの場面で重要なのは、
「これ以上、後ろに戻らない」
という状態を作ることです。
・決定事項
・前提条件
・保留事項
これらを明確にし、
決まったことを動かさない。
完璧でなくても構いません。
動かしながら修正するためにも、
一度固定することが必要です。
まとめ
プロジェクトが止まったとき、
焦りから取られる行動の多くは、
「足す」方向に向かいます。
・会議を増やす
・人を増やす
・体制を変える
しかし実際には、
整理されていない状態に、さらに要素を足すことが、
停滞を長引かせる原因になることも少なくありません。
立て直しの第一歩は、
何かを始めることではなく、
一度立ち止まって整理することです。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう立て直せばいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。
それだけでも、
次の一歩が見えやすくなることがあります。
