新規事業で「想定外」が続くのは失敗ではないという話

新規事業や新規プロダクトの立ち上げに関わっていると、
こんな感覚を覚えることがあります。

「思っていた反応と違う」
「想定していなかった問題が次々に出てくる」
「計画通りに進んでいない気がする」

予定から外れる出来事が重なるほど、
どこかで不安が強くなっていきます。

この状態に対して、
「うまくいっていないのではないか」
「何か大きな判断ミスをしているのではないか」
そう感じてしまう人も少なくありません。

ただ、この「想定外が続く」という状況自体は、
必ずしも失敗を意味するものではありません。


目次

想定外を恐れる心理

想定外=失敗だと思ってしまう

多くの現場で、
想定外はネガティブに扱われがちです。

・計画に入っていなかった
・事前に読めなかった
・説明しづらい

こうした理由から、
想定外=準備不足、という評価につながりやすくなります。

特に新規事業では、
周囲の目や期待も大きくなりがちです。

その分、
「想定外が起きてはいけない」
という空気が生まれやすくなります。

予定通りを求める圧力

もう一つの要因は、
「予定通り進めること」が評価されやすい構造です。

・計画に沿っているか
・スケジュール通りか
・想定との差分は何か

こうした問いが増えるほど、
現場は予定から外れることを避けようとします。

結果として、
想定外が起きるたびに、
不安や焦りが積み重なっていきます。


初期フェーズの現実

情報不足が前提

新規事業の初期フェーズでは、
情報が不足している状態が前提です。

・顧客の反応は限定的
・市場データも粗い
・競合の動きも読み切れない

こうした状況で立てた計画は、
どうしても仮の要素が多くなります。

つまり、
計画段階で想定できる範囲自体が、
そもそも限られているのです。

変化が起きるのが普通

初期フェーズでは、
動き始めてから初めて見えるものが多くあります。

・実際の利用シーン
・本当に刺さる価値
・想定と違う課題

これらは、
机上では見えにくいものです。

動いた結果、
想定外が次々に出てくるのは、
ある意味自然なことです。


計画通りにいかない前提

計画は仮置きである

新規事業の計画は、
完成形ではありません。

「この前提が正しければ」
「この仮説が当たっていれば」
という条件付きのものです。

にもかかわらず、
計画が固定されたものとして扱われると、
想定外は「ズレ」や「失敗」に見えてしまいます。

計画は、
検証のための出発点に近い存在です。

変えるために進める

初期フェーズの進行は、
「計画を守るため」ではなく、
「計画を変えるため」にあります。

・違和感を見つける
・仮説のズレを確認する
・次の仮説につなげる

このプロセスを通じて、
方向性は少しずつ調整されていきます。

想定外は、
その調整材料の一つです。


想定外への向き合い方

想定外を論点に変える

想定外が起きたとき、
それをそのまま放置すると、
不安だけが残ります。

一方で、
想定外を論点として扱うと、
意味が変わります。

・なぜ起きたのか
・どの前提がズレていたのか
・次に何を確認すべきか

こうして言語化することで、
想定外は「材料」になります。

学びとして整理する

重要なのは、
想定外を評価の対象にしすぎないことです。

「良い・悪い」で判断するより、
「何が分かったか」に目を向ける方が、
次につながりやすくなります。

学びとして整理されることで、
想定外は前進の一部になります。


前進につなげる整理の仕方

仮説・検証・次の一手

想定外が起きた後は、
以下のような整理が役立ちます。

・元の仮説は何だったか
・どこがズレたのか
・次は何を確かめるか

すべてを一度に決める必要はありません。

次の一歩が見えるだけでも、
前進感は生まれます。

推進役が学びを行動に変える

現場では、
想定外が起きたあとに
動きが止まってしまうこともあります。

・どう報告すべきか
・次に何を決めるべきか
・誰が判断するのか

こうした迷いを整理し、
学びを次の行動につなげる役割が、
推進役やプロダクトマネージャーです。

正解を出すのではなく、
整理して前に進めることが役割になります。


まとめ

新規事業で
「想定外」が続くこと自体は、
珍しいことではありません。

それは、
初期フェーズにおける
ごく自然な進み方でもあります。

・情報不足が前提
・計画は仮置き
・動いて初めて見えるものがある

こうした構造を理解すると、
想定外に対する見え方は変わります。

新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「想定外が多すぎて不安だ」と感じているなら、
一度、今起きていることを整理してみることも選択肢のひとつです。

それだけで、
「想定外」が前進の一部として見えてくることがあります。

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