新規事業の立ち上げで「資料が増えるほど進まなくなる」理由

新規事業の立ち上げに関わっていると、
いつの間にかこんな状態になっていることがあります。

・フォルダには大量の資料がある
・会議のたびに新しいスライドが増える
・説明は尽くしているはずなのに、決まらない

「準備はしている」
「考えていないわけではない」

それでも、
なぜか前に進んでいる実感がない。

この違和感を抱えている現場は、決して少なくありません。

目次

ドキュメント過多の現場

資料は増えるのに決まらない

立ち上げ初期のプロジェクトでは、
不確実な要素が多く、説明が必要な場面も増えます。

その結果、
・背景説明
・市場分析
・競合整理
・将来イメージ

といった資料が次々と作られていきます。

一見すると、
とても真面目に進んでいるように見えます。

ただ、会議が終わったあと、
「で、何が決まったんだっけ?」
という空気が残ることも多い。

資料はあるのに、
意思決定が前に進まない状態です。

更新されない資料が積み上がる

もうひとつ、よくあるのが
「作ったまま更新されない資料」が増えていくことです。

初期に作った前提資料が、
実はもう現状と合っていない。

けれど、
どれが最新か分からず、
誰も手を入れないまま残り続ける。

結果として、
資料は増えているのに、
判断材料としては使われなくなっていきます。

資料作成が目的化する構造

作ることで安心してしまう心理

資料が増える背景には、
個人の能力や姿勢の問題だけではなく、
心理的な構造があります。

資料を作ると、
「ちゃんとやっている感」が生まれます。

・考えを整理した
・説明できる状態にした
・準備不足ではない

この安心感は、決して悪いものではありません。

ただ、その安心感が
「次に進むための判断」を先送りにしてしまうこともあります。

読まれないのに増える理由

新規事業の現場では、
忙しい人ほど、資料をじっくり読む時間がありません。

そのため、
・全部は読まれない
・一部しか見られていない
・結論だけ拾われる

という状態が起きやすい。

それでも、
「説明が足りなかったのかもしれない」
という反省から、
次はさらに厚い資料を作ってしまう。

こうして、
読まれない資料が増え続ける構造が生まれます。

本当に必要な最低限の資料

初期に必要なのは「決めるための資料」

立ち上げ初期に本当に必要なのは、
「網羅的な説明資料」よりも、
「決めるための資料」です。

具体的には、
・今回、何を決めたいのか
・選択肢は何か
・それぞれのメリット・懸念
・今、決めないことは何か

この整理がない資料は、
情報量が多くても、判断にはつながりません。

進めるために必要な記録の種類

もうひとつ重要なのが、
「進めるための記録」です。

これは、
きれいなスライドである必要はありません。

・決定事項
・保留事項
・前提条件
・次にやること

こうした情報が、
あとから見返せる形で残っているかどうか。

進行のためには、
説明資料よりも、
この記録のほうが役に立つ場面が多くあります。

共有すべき情報と捨てる情報

共有すべき:前提・論点・決定事項

立ち上げ初期に共有すべき情報は、
実はそれほど多くありません。

・今の前提は何か
・どこがまだ不確実か
・何が決まっていて、何が決まっていないか

この3点が共有されていれば、
会話は前に進みやすくなります。

全員が同じ前提で話せること。
それだけで、無駄な議論はかなり減ります。

捨てる:装飾された長文・目的不明の資料

一方で、
・目的が曖昧な長文資料
・結論のない分析
・誰のためか分からないスライド

こうした資料は、
判断を助けるどころか、
情報のノイズになることがあります。

作ること自体が悪いのではありません。
ただ、
「今、このフェーズで本当に必要か」
を見直す余地はあります。

PMが情報量をコントロールする役割

情報を減らして判断を増やす

プロダクトマネージャーや推進役の役割のひとつは、
情報を増やすことではありません。

むしろ、
・何を捨てるか
・何を残すか
・どこに集中するか

を整理し、
判断しやすい状態をつくることにあります。

情報量を減らすことで、
判断の回数を増やす。
これは、立ち上げ初期では特に重要な視点です。

資料を行動に変える設計

資料が意味を持つのは、
それが次の行動につながるときです。

・この資料を見て、誰が何を決めるのか
・決まったあと、何が変わるのか

そこまで設計されていない資料は、
どうしても「読むだけ」で終わってしまいます。

推進役がいると、
資料と行動の間をつなぐ役割が明確になります。

まとめ

新規事業の立ち上げで、
資料が増えること自体は珍しいことではありません。

問題になりやすいのは、
資料が「進めるため」ではなく、
「安心するため」に作られてしまうことです。

資料が増えているのに、
決まることが少ない。
行動が変わらない。

もし、そんな違和感を感じているなら、
一度、
「今、本当に必要な資料は何か」
「判断に使われている情報はどれか」
を整理してみる価値はあります。

新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「準備はしているのに進まない」と感じているなら、
状況や情報の持ち方を整理してみることも、選択肢のひとつです。

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