新規事業や新規プロダクトの立ち上げ初期で、
こんな感覚に覚えはないでしょうか。
会議ではよく話している。
資料も増えている。
それなのに、次に何をするのかがはっきりしない。
「今日はいい議論ができた」
そう言いながら会議は終わるものの、
翌日になると、何も決まっていないことに気づく。
誰かがサボっているわけではありません。
能力が足りないわけでもありません。
多くの場合、
「誰が決めるか」が決まっていないという構造が、
プロジェクトを静かに迷走させています。
この記事では、
意思決定が定まらない現場で何が起きているのかを、
個人の資質ではなく、構造の話として整理していきます。
意思決定不在の典型症状
会議では話すが決まらない
意思決定が曖昧なプロジェクトでは、
会議の質自体は決して低くありません。
意見も出る。
懸念点も整理される。
選択肢も並ぶ。
それでも、
「では、これでいきましょう」という言葉が出ない。
理由は単純で、
誰が最終的に決めるのかが明確でないからです。
全員が判断を避け、
全員が様子を見る。
結果として、話すこと自体が目的化していきます。
次のアクションが曖昧
決まらない会議のあとに残るのは、
曖昧な宿題です。
「もう少し検討しましょう」
「次回までに整理しておきます」
一見すると前進しているように見えますが、
次の会議で同じ議論が繰り返されることも少なくありません。
次のアクションが曖昧なのは、
決断が存在しないからです。
全員合意が遅さを生む理由
合意形成と決断の違い
新規事業の現場では、
「全員が納得してから進みたい」という声がよく聞かれます。
この姿勢自体は、とても誠実です。
ただ、合意形成と決断は同じではありません。
合意形成は、
意見を揃えるプロセスです。
一方、決断は、
不完全な情報の中で選択する行為です。
初期フェーズでは、
全員が完全に納得する状態はほとんど訪れません。
それでも進めるためには、
どこかで決断が必要になります。
責任回避が生まれる構造
「全員で決める」という言葉は、
一見すると民主的に聞こえます。
しかし実際には、
責任の所在を曖昧にする効果も持っています。
誰が決めたのか分からない。
だから、誰も責任を負わない。
その結果、
決めないことが最も安全な選択になります。
これは個人の勇気の問題ではなく、
そうならざるを得ない構造の問題です。
責任と決断の切り分け
決める人と実行する人
プロジェクトでは、
「決める人」と「実行する人」が混同されがちです。
実行する人が多いほど、
決める責任まで背負わされることがあります。
ただ、本来この二つは別の役割です。
決める人は、
方向性を選ぶ役割。
実行する人は、
選ばれた方向に進める役割。
この切り分けができていないと、
実行する人ほど判断を避けるようになります。
役割が分かれていない問題
役割が曖昧なプロジェクトでは、
次のような状態が生まれやすくなります。
・決断を待つ人が増える
・判断が上に集まりすぎる
・現場が動けなくなる
結果として、
プロジェクト全体が重くなります。
重要なのは、
誰が偉いかではなく、
誰が決める役割を持っているかです。
PMが担う意思決定整理
論点を整理する役割
プロダクトマネージャーや推進役は、
必ずしも最終決定者ではありません。
彼らの役割は、
「決めるための論点」を整理することにあります。
何を決める必要があるのか。
今決めるべきことは何か。
後でよい判断は何か。
この整理があるだけで、
意思決定は驚くほど進みやすくなります。
決めやすい状態をつくる
決断ができない理由の多くは、
情報不足ではありません。
決め方が見えていないだけです。
選択肢を並べる。
判断軸を明確にする。
決めた後の影響範囲を整理する。
こうした準備が整っていると、
決断は「怖いもの」ではなくなります。
決められる状態をつくる方法
判断軸を共有する
「どちらが正しいか」ではなく、
「何を基準に選ぶか」。
この判断軸が共有されているかどうかで、
意思決定のスピードは大きく変わります。
コストなのか。
スピードなのか。
検証のしやすさなのか。
判断軸が明確であれば、
決断は個人の感覚に依存しません。
決断を前提に進める設計
会議の目的を
「話し合うこと」から
「決めること」に変える。
この意識の転換だけでも、
プロジェクトの進み方は変わります。
すべてを決める必要はありません。
仮決めでも構いません。
「今日はここまで決める」
この前提があるだけで、
会議は実行につながりやすくなります。
まとめ
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
意思決定が曖昧なまま進んでしまうことは珍しくありません。
それは、
人の能力や意欲の問題ではなく、
「誰が決めるか」が整理されていない構造によって起きています。
もし今、
「話しているのに決まらない」
「次の一歩が見えない」
と感じているなら、
一度、決断の構造を見直してみる。
それも、十分に自然な選択肢です。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。
