新規事業や新規プロダクトの立ち上げ初期では、
「何から決めればいいのか分からない」という感覚に陥りがちです。
議論は活発です。
アイデアも出ています。
ただ、話が前に進んでいる実感が持てない。
決めることが多すぎて、
どれも中途半端なまま時間だけが過ぎていく。
そんな違和感を抱えながら、次の会議を迎える。
この状態は、決して珍しいものではありません。
多くのプロジェクトで、初期フェーズ特有の構造として起きています。
この記事では、
新規事業の立ち上げ初期において
「決めるべきこと」と「決めなくていいこと」が混在してしまう理由を整理しながら、
一歩目を動かすための考え方を言葉にしていきます。
答えを示すことが目的ではありません。
自分たちの状況を整理するための材料として読んでもらえれば十分です。
初期フェーズで混乱しやすい論点
全部決めようとしてしまう心理
構想段階にある新規事業では、
「曖昧なまま進めてはいけない」という意識が強く働きます。
その結果、
事業コンセプト、ターゲット、機能、価格、体制、スケジュールなど、
すべてを最初に決めようとしてしまいます。
慎重さそのものは悪いものではありません。
ただ、初期フェーズでは、
決められないことまで決めようとしてしまう構造が生まれやすくなります。
情報不足による不安
初期フェーズでは、情報が揃っていません。
市場の反応も、ユーザーの声も、仮説の段階です。
この情報不足が、不安を生みます。
不安を減らすために、
「もっと決めよう」「もっと検討しよう」という動きが強まります。
その結果、
決断を避けるための議論が増えていくことがあります。
全部決めようとして失敗する話
初期に決めすぎるリスク
初期段階で多くを決めすぎると、
柔軟に動けなくなることがあります。
想定と違う反応が出たときに、
「もう決めてしまったから」と修正をためらってしまう。
これは誰かの判断ミスではなく、
決めるタイミングの問題です。
初期フェーズでは、
変わる前提で進める部分が多く含まれます。
後戻りコストの問題
決めた内容が増えるほど、
後戻りのコストも大きくなります。
資料、合意、説明、調整。
これらをもう一度やり直す負担が、
判断をさらに重くします。
結果として、
「動かないほうが安全」という空気が生まれやすくなります。
最低限決めれば動けるライン
今決めるべき判断
初期フェーズで必要なのは、
すべてを決めることではありません。
最低限、次の一歩を動かすための判断です。
たとえば、
・このプロジェクトの目的は何か
・誰が意思決定を担うのか
・今は検証なのか、構築なのか
こうした前提が共有されているだけで、
議論の方向性は揃いやすくなります。
後回しでよい判断
一方で、
初期段階では決めなくても困らないことも多くあります。
細かな仕様。
完璧な収益モデル。
長期的な組織体制。
これらは、
一歩目を踏み出してから見えてくる要素でもあります。
「今は決めない」と決めることも、
立派な意思決定のひとつです。
優先順位付けの考え方
重要度と緊急度の切り分け
混乱しているときほど、
すべてが重要に見えてきます。
ここで役立つのが、
重要度と緊急度を切り分ける視点です。
今決めないと動けないことなのか。
後からでも修正できることなのか。
この切り分けができると、
判断の負担は少し軽くなります。
初期フェーズ特有の基準
初期フェーズでは、
「正しいかどうか」よりも
「動けるかどうか」が基準になる場面があります。
不完全でも動ける判断。
仮置きでも進められる前提。
この視点を持つだけで、
決断のハードルは下がります。
一歩目を踏み出すための現実解
完璧を目指さない進め方
新規事業では、
完璧な計画から始まることはほとんどありません。
多くの場合、
動きながら整えていくプロセスになります。
完璧を目指すこと自体が、
一歩目を遠ざけてしまうこともあります。
動きながら整える視点
最初の一歩は、小さくても構いません。
仮説を置き、動き、見直す。
その繰り返しの中で、
決めるべきことが自然と見えてきます。
プロダクトマネージャーや推進役の役割も、
この流れを整理し続けることにあります。
まとめ
新規事業や新規プロダクトの立ち上げ初期では、
決めるべきことと、決めなくていいことが混ざりやすくなります。
その結果、
考えているのに進まない、という状態が生まれます。
もし今、
「何を決めればいいのか分からない」と感じているなら、
それは個人の問題ではなく、
初期フェーズによくある構造のひとつかもしれません。
すぐに答えを出す必要はありません。
今の段階でも、一度状況を整理してみる。
それも、自然な選択肢のひとつです。
