新規事業や新規プロダクトの立ち上げ初期で、
こんな感覚に心当たりはないでしょうか。
やることが次々に増えていく。
誰かが「これも必要では」と言うたびに、
タスクが積み上がっていく。
気づけば、
忙しさだけが増え、
どこに向かっているのか分からなくなる。
誰もサボっていない。
むしろ、みんな真剣です。
それでも前に進まない。
この状態は、能力や意欲の問題ではありません。
多くの場合、「やらないこと」が決まっていない構造から生まれます。
この記事では、
プロダクトマネージャーの役割を
「何をするか」ではなく
「何をしないか」という視点で整理していきます。
答えを押し付けるためではありません。
今起きている違和感を、
少し言葉にするための材料として読んでもらえれば十分です。
PM=何でも屋という誤解
仕事が膨らみがちな理由
プロダクトマネージャーという役割は、
定義が曖昧なまま使われることが少なくありません。
その結果、
「とりあえずPMに投げる」
という空気が生まれやすくなります。
企画の相談。
仕様の確認。
関係者との調整。
時には細かな作業まで。
善意で引き受けているうちに、
仕事は際限なく膨らんでいきます。
これは個人の問題ではなく、
役割の境界が整理されていない構造によるものです。
境界が曖昧な役割
初期フェーズでは、
役割分担が固まっていないことが多くあります。
誰がどこまで責任を持つのか。
何を決めていいのか。
どこで止めるのか。
これが曖昧なままだと、
PMは何でも屋になりやすくなります。
ただし、
何でもやることが、
プロジェクトを前に進めるとは限りません。
やらないことを決める重要性
優先順位の本質
優先順位をつける、というと、
「どれからやるか」を決める話だと思われがちです。
しかし本質は、
「今はやらないことを決める」ことにあります。
すべてを同時に進めようとすると、
どれも中途半端になります。
初期フェーズでは特に、
リソースも情報も限られています。
だからこそ、
何を後回しにするかが、
進行スピードを左右します。
捨てる判断
やらないことを決めるのは、
勇気がいる判断です。
「本当は必要かもしれない」
「後で問題になるかもしれない」
そうした不安が、
判断を鈍らせます。
ただ、
捨てる判断は、
永久に捨てるという意味ではありません。
今はやらない。
今は考えない。
この時間軸の整理が、
一歩目を動かしやすくします。
優先順位が事業を救う
限られたリソースの使い方
新規事業では、
時間も人も予算も限られています。
それにもかかわらず、
すべてを完璧にやろうとすると、
結果的に何も進まなくなります。
優先順位とは、
限られたリソースを
どこに集中させるかの意思決定です。
これは、
戦略の話というより、
現実の話です。
初期フェーズ特有の判断
初期フェーズでは、
完成度よりも検証が重要になる場面が多くあります。
その段階で、
細部まで作り込むことが、
必ずしも価値につながるとは限りません。
むしろ、
一部を意図的に捨てることで、
全体が動き出すこともあります。
初期フェーズ特有の判断
今やるべきでないこと
初期段階でよく出てくるのが、
「将来必要になりそうなこと」です。
完璧な仕様。
拡張を見越した設計。
細かな運用ルール。
これらは重要です。
ただ、今やるべきとは限りません。
今は仮説を確かめる段階なのか。
それとも形にする段階なのか。
この前提が整理されていないと、
やるべきでないことに時間を使ってしまいます。
後で取り戻せること
一方で、
後からでも取り戻せることも多くあります。
仕様の精度。
デザインの完成度。
内部プロセスの整備。
これらは、
動き出してからでも修正が可能です。
「今は捨てるが、後で戻す」
この前提を共有できると、
判断は軽くなります。
PMがいるプロジェクトの違い
進行スピードの差
PMがいるプロジェクトと、
そうでないプロジェクトの違いは、
作業量ではありません。
判断のスピードです。
やることが少ないのではなく、
やらないことが決まっている。
この状態があるだけで、
プロジェクトは前に進みやすくなります。
判断の質の違い
PMの役割は、
正解を当てることではありません。
判断の前提を揃え、
選択肢を整理し、
今の段階に合った決断を促すことです。
そのために、
何をしないかを決め続けます。
結果として、
判断の質が安定し、
関係者の迷いも減っていきます。
まとめ
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
やるべきことが無限に見えてきます。
その中で、
すべてを抱え込もうとすると、
プロジェクトは重くなります。
プロダクトマネージャーの仕事は、
何でもやることではありません。
「今はやらないこと」を決め、
一歩目を動かすことです。
もし今、
やることが多すぎて前に進めないと感じているなら、
何をやらないかを整理してみる。
それもひとつの選択肢です。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。
