新規事業や新規プロジェクトに関わっていると、
こんな感覚に陥ることがあります。
毎日やることは山ほどある。
会議も多い。
資料も作っている。
関係者との調整も続いている。
それなのに、
「結局、何が前に進んだのか分からない」。
忙しさは確実に増しているのに、
プロジェクトとしての前進が感じられない。
この違和感は、現場でよく聞く声です。
タスクは増えるが前進しない状態
仕事はしているのに成果がない
多くの人が真面目に働いています。
サボっているわけではありません。
・依頼された作業をこなしている
・会議の準備をしている
・必要と言われた資料を作っている
それでも、
「進んでいる実感」が残らない。
この状態は、
個人の努力不足ではなく、
プロジェクトの構造から生まれやすいものです。
調整と資料作成だけが増える
前に進まないプロジェクトほど、
次のような仕事が増えがちです。
・確認のための資料
・説明用のスライド
・関係者とのすり合わせ
どれも必要な場面はあります。
ただ、そればかりが増えていくと、
忙しさと進捗が切り離されていきます。
忙しさと進捗の違い
作業量と前進は別
「忙しい=進んでいる」
そう感じてしまうことは自然です。
しかし、プロジェクトにおいては、
作業量と前進は必ずしも一致しません。
・作業が増えても判断が増えない
・会議が増えても決定が増えない
この状態では、
いくら時間を使っても前には進みにくい。
決断が増えないと進捗にならない
プロジェクトが前に進んだと言えるのは、
何かが「決まった」時です。
・方針が決まる
・仮説が決まる
・次の一手が決まる
決断が増えない限り、
作業は積み重なっても進捗にはなりません。
忙しさが増えているのに進まない時、
その裏では「決める仕事」が不足していることが多いです。
整理されていない仕事の怖さ
タスクの目的が曖昧
タスクが増殖するプロジェクトでは、
一つひとつの仕事の目的が曖昧になりがちです。
・なぜこの作業をしているのか
・何の判断につながるのか
・終わったら何が決まるのか
これが見えないまま、
「とりあえず必要そうだから」で仕事が積み上がる。
結果として、
忙しいのに前に進まない状態が固定されます。
優先順位が日々変わる
整理されていない仕事が多いと、
優先順位は常に揺れます。
・今日はこれが最優先
・明日は別の依頼が入る
・昨日のタスクが後回しになる
その場その場で対応するため、
全体としての流れが見えなくなります。
これは、個人の判断力の問題ではありません。
プロジェクト全体の整理が追いついていない状態です。
初期フェーズに必要な削減
やらないことを決める
前に進まない時ほど、
新しいタスクを足したくなります。
・もっと調べよう
・もう一度説明しよう
・別の案も用意しよう
しかし、初期フェーズでは、
「やらないこと」を決めることも重要です。
すべてを完璧にしようとすると、
判断は遠のき、作業だけが増えます。
論点を減らし、判断に集中する
論点が多すぎると、
決断は自然と後回しになります。
・今決める論点
・後で決めてよい論点
・今は考えなくてよい論点
これらが整理されていないと、
議論は広がり続けます。
論点を減らすことは、
仕事を減らすことではありません。
判断の密度を高めることです。
PMが守るべき集中領域
目的・優先順位・意思決定
プロジェクトが忙しさに飲み込まれそうな時、
守るべき集中領域があります。
・このプロジェクトの目的は何か
・今の優先順位は何か
・誰が何を決めるのか
これが揺れると、
タスクは無制限に増えていきます。
プロダクトマネージャーや推進役の役割は、
すべての作業を抱えることではありません。
判断が前に進む環境を保つことです。
タスクを「前進する仕事」に変える
同じ作業でも、
意味づけが変わると役割が変わります。
・この資料は何を決めるためのものか
・この会議のゴールは何か
・終わった後、何が固定されるのか
これが明確になるだけで、
タスクは「消耗する仕事」から
「前進する仕事」に変わります。
まとめ
プロジェクトが前に進まないのに、
忙しさだけが増えていく現象は、
珍しいことではありません。
それは、
努力が足りないからでも、
能力が不足しているからでもありません。
・決断が増えていない
・論点が整理されていない
・やらなくていい仕事が残っている
こうした構造が重なると、
忙しさと停滞が同時に進行します。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「忙しいのに進まない」と感じているなら、
一度、タスクと判断の関係を整理してみることも選択肢のひとつです。
それだけで、
仕事の重さが少し変わって見えることがあります。
