新規事業の立ち上げを任された担当者から、
こんな声を聞くことがあります。
「何をやっても中途半端な感じがする」
「前に進んでいないわけではないのに、ずっと重たい」
「誰にも反対されていないのに、決まらない」
プロジェクトが止まった理由を振り返ると、
大きな失敗や明確な対立があったわけではない。
ただ、担当者が限界に近づいたところで、自然と動かなくなる。
これは、個人の能力や気合の問題ではありません。
新規事業の初期フェーズに特有の構造が、そうさせています。
担当者に集中しがちな負荷
調整・資料・会議が全部乗る
新規事業の担当者は、
「企画担当」「進行管理」「調整役」を同時に担いがちです。
・社内向けの説明資料を作る
・上長への報告を調整する
・関係部署の意見を集める
・外部とのやり取りをする
それぞれは単体で見れば、特別な作業ではありません。
しかし、すべてが一人に集まると、
常に頭が切り替わらない状態になります。
考える、まとめる、説明する、調整する。
これが毎日のように繰り返されます。
役割が増え続ける初期フェーズ
初期フェーズは、役割が定まりません。
必要なことが見えるたびに、担当者の仕事が増えていきます。
・これも誰かがやらないと
・今は自分が見るしかない
・後で整理すればいい
こうして役割は増えますが、
減るタイミングはほとんどありません。
結果として、
「全部自分が抱えている感じ」
が常態化していきます。
判断疲れが生む停滞
決める回数が多すぎる
新規事業では、大きな判断よりも
小さな判断の連続が多くなります。
・この順番で進めるか
・今回は誰に相談するか
・どこまで資料に書くか
一つひとつは軽い判断です。
ただ、回数が多すぎる。
しかも、その多くが
「正解がない判断」です。
小さな判断が積み上がって止まる
判断が続くと、人は消耗します。
これは意志の弱さではなく、構造的な問題です。
判断疲れが溜まると、
・決めることを後回しにする
・確認が増える
・次の一手が出にくくなる
結果として、
プロジェクトは止まって見えます。
実際には、
止まっているのではなく
判断できなくなっている状態です。
相談できない構造
上に上げても決まらない
担当者が疲弊する理由の一つに、
「相談しても進まない」構造があります。
上に相談しても
・もう少し考えて
・他の案も見て
・一度持ち帰って
と返ってくる。
決めてほしくて相談しているのに、
判断が戻ってくる。
結果、担当者の負荷は減りません。
横の合意形成で消耗する
横の調整も同様です。
関係部署に意見を聞くほど、
論点は増え、前提は揺らぎます。
誰も反対していない。
でも、誰も決めていない。
この状態で調整を続けると、
担当者だけが消耗していきます。
役割を分ける重要性
進行・判断整理・調整を分担する
新規事業では、
すべてを一人で担う必要はありません。
・進行を管理する役割
・判断材料を整理する役割
・関係者と調整する役割
これらは、同じ人でなくていい。
役割を分けるだけで、
判断の負荷は大きく下がります。
推進役がいるだけで負荷が下がる
推進役がいるプロジェクトでは、
担当者は「全部を背負う」状態から外れます。
・次に何を決めるかが見える
・判断の重さが整理される
・調整の論点が絞られる
結果として、
担当者は本来考えるべきことに
集中しやすくなります。
外部PMが入る意味
担当者の代わりではなく支えになる
外部のプロダクトマネージャーが入ると、
「担当者が楽をする」と誤解されることがあります。
実際は逆です。
担当者が潰れないための支えになります。
・考える相手ができる
・判断を一人で抱えなくて済む
・整理された状態で相談できる
これだけでも、心理的な負荷は下がります。
進行と意思決定を前に進める役割
外部PMの役割は、
決めることではありません。
・決めやすい状態をつくる
・論点を整理する
・判断の順番を整える
その結果、
意思決定が前に進みます。
担当者は、
一人で押し切らなくてよくなります。
まとめ
新規事業が止まる理由は、
担当者の頑張り不足ではありません。
判断が集中し、
相談しても決まらず、
役割が分かれていない。
この構造の中で、
担当者が疲弊したところで止まる。
それは、とても自然な流れです。
「自分が弱いのではないか」
そう感じている人ほど、
構造の問題を疑ってみてください。
新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。
