プロジェクトが進まない原因を「コミュニケーション不足」にしてはいけない

会議は定期的に開かれている。
チャットも回っている。
資料も共有されている。

それでも、プロジェクトが前に進んでいる感覚がない。
次の一手が決まらない。
同じ話題を何度も繰り返している。

こうした状況で、よく出てくる言葉があります。
「コミュニケーションが足りないですね」。

一見するともっともらしく聞こえますが、
この言葉で片づけてしまうと、状況はほとんど変わりません。

なぜなら、多くのケースで不足しているのは
コミュニケーションの量ではなく、別のものだからです。

目次

便利すぎる言葉としてのコミュニケーション不足

原因を曖昧にできてしまう

「コミュニケーション不足」という言葉は、とても便利です。
誰かを名指しで責める必要がなく、
場の空気も悪くなりにくい。

その一方で、
何が問題だったのかが曖昧なままになります。

・誰と誰の間で
・何について
・どの時点で

こうした具体が抜け落ちたまま、
「もっと話しましょう」で終わってしまう。

結果として、次の会議でも同じことが起きます。

具体的な改善に落ちない

「コミュニケーションを増やす」という改善策は、
実行しづらいのも特徴です。

・会議を増やすのか
・資料を増やすのか
・報告頻度を上げるのか

方向性が定まらないまま、
情報量だけが増えていくことも少なくありません。

情報が増えても、
意思決定が進まなければ状況は変わりません。

実際に不足しているのは何か

論点の整理

プロジェクトが進まない現場をよく見ると、
会話そのものは活発です。

ただし、
何について決めようとしているのかが曖昧なまま話しています。

・今日は何を決める場なのか
・今の論点はどこか
・決めないことは何か

これが整理されていないと、
会話は発散しやすくなります。

結果として、
話した感覚はあるのに、何も決まらない。

判断軸の共有

もう一つ不足しがちなのが、判断軸です。

・何を優先するのか
・どこまで許容するのか
・今回は何を重視するのか

この判断軸が共有されていないと、
同じ情報を見ても意見が揃いません。

意見が割れること自体は問題ではありません。
問題なのは、なぜ割れているのかが見えない状態です。

論点と判断軸の欠如

何を決める会議か分からない

「この会議は何を決める場ですか?」
この問いに、即答できない会議は少なくありません。

・情報共有のつもりの人
・方向性を決めたい人
・単なる壁打ちだと思っている人

参加者の認識がバラバラだと、
会話は噛み合いません。

その結果、
「話し合ったけれど決まらなかった」
という状態が繰り返されます。

重要論点が毎回ズレる

論点が整理されていないと、
毎回違うポイントが問題として浮上します。

・前回はコスト
・今回はスケジュール
・次は体制

どれも重要ですが、
優先順位がついていないため、
話が前に積み上がりません。

これも「コミュニケーション不足」と誤解されやすい構造です。

整理されていない会話の問題

情報が多いのに意味がない

資料は分厚い。
説明も丁寧。
発言者も多い。

それでも意思決定につながらない会話は、
珍しくありません。

理由は単純で、
情報が整理されていないからです。

・何が事実で
・何が仮説で
・何が未確定なのか

この区別がないまま情報が並ぶと、
判断する側は疲弊します。

伝達ではなく整理が必要

多くの現場では、
「ちゃんと伝えること」に意識が向きがちです。

しかし初期フェーズでは、
伝達よりも整理が重要になる場面が多い。

・情報を削る
・論点を絞る
・判断に必要な材料だけ残す

この整理がないまま伝えても、
会話は前に進みません。

前に進むための対話の設計

決める場と共有する場を分ける

すべての会議で決める必要はありません。
逆に、すべて共有だけでも前に進みません。

・今日は決める場なのか
・今日は共有だけの場なのか

この切り分けがあるだけで、
会話の質は大きく変わります。

決める場では、
論点と判断軸を明確にする。
共有の場では、
理解を揃えることに集中する。

役割が混ざると、
どちらも中途半端になります。

推進役が会話を前進に変える

推進役やプロダクトマネージャーの役割は、
話をうまくすることではありません。

・論点を整理する
・判断軸を言語化する
・決めるための状態をつくる

こうした働きがあることで、
会話は「話した」で終わらず、
次の一歩につながります。

これは個人の能力というより、
役割として置かれているかどうかの問題です。

まとめ

プロジェクトが進まないとき、
「コミュニケーション不足」という言葉で片づけてしまうと、
本当の原因が見えなくなります。

多くの場合、不足しているのは
・論点の整理
・判断軸の共有
・決めるための設計

会話が足りないのではなく、
整理された対話が足りていない

そう捉えるだけで、
見える景色は少し変わります。

新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。

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