なぜ「兼務PM」はほとんど機能しないのか

新規事業や新規プロダクトの立ち上げで、
こんな状況に心当たりはないでしょうか。

PMは一応いる。
会議も定期的に開かれている。
資料もそれなりに揃っている。

それでも、
なぜか前に進まない。
判断が先送りされる。
次の一歩が曖昧なまま時間だけが過ぎていく。

よく見てみると、
そのPMは「兼務」になっていることが少なくありません。

この記事では、
兼務PMが機能しにくくなる理由を、
個人の能力ではなく、
構造の問題として整理していきます。

目次

兼務PMが増える背景

人手不足とコスト意識

新規事業の初期フェーズでは、
人も予算も限られています。

そのため、
「まずは既存メンバーで回そう」
「専任を置くほどでもない」
と判断されがちです。

PMという役割も、
新たに人を立てるのではなく、
既存業務の延長線で割り当てられます。

コスト意識としては、
自然な判断です。

とりあえず任せる構造

兼務PMが生まれる背景には、
役割の曖昧さもあります。

PMが何をする人なのか。
どこまで責任を持つのか。

それが整理されないまま、
「詳しそうだから」
「調整ができそうだから」
という理由で任せられる。

この時点で、
PMは役割ではなく「肩書き」になりやすくなります。

現場で起きている現実

通常業務が優先される

兼務PMの多くは、
本来の担当業務を持っています。

日々の売上。
既存プロジェクト。
社内調整や報告業務。

これらは、
緊急度が高く、
目に見える成果が求められます。

一方、新規事業は、
成果が見えにくく、
多少遅れても表面化しにくい。

結果として、
どうしても通常業務が優先されます。

新規事業が後回しになる

「今日は時間が取れなかった」
「来週まとめて考えよう」

こうした小さな後回しが、
積み重なっていきます。

兼務PM本人の意識の問題ではありません。
時間と集中力の配分として、
構造的にそうなりやすいのです。

気づいた頃には、
新規事業は「やっているが進んでいない」
状態になります。

優先順位が崩れる理由

緊急度と重要度の逆転

新規事業に必要なのは、
重要だが緊急ではない判断です。

方向性の整理。
仮説の検討。
次の一歩の選定。

これらは、
今すぐやらなくても困らないように見えます。

一方で、
通常業務には
「今すぐ対応しないと困ること」が多くあります。

結果として、
重要度より緊急度が優先され、
新規事業の判断は後回しになります。

判断疲れ

PMの役割には、
意思決定と調整が含まれます。

何をやるか。
何をやらないか。
どこで止めるか。

兼務PMは、
通常業務でも判断を求められています。

そこに新規事業の判断が重なると、
判断そのものが重荷になります。

その結果、
「もう少し情報を集めてから」
「関係者の意見を聞いてから」
という形で、決断が先送りされやすくなります。

専任・外部PMの価値

役割としての専念

専任PMや外部PMの価値は、
スキルの高さだけではありません。

「新規事業を前に進めること」
に専念できる点にあります。

通常業務との優先順位競争がない。
判断を後回しにする理由が少ない。

それだけで、
進行スピードは大きく変わります。

第三者だからできること

外部のPMや第三者的な立場の人は、
社内の力関係から距離があります。

誰の顔色も見ずに、
論点を整理できる。
決めるべきことを明確にできる。

これは、
能力というより立場の違いです。

内部の人では難しい役割を、
構造的に担いやすいという特徴があります。

役割としてのPMをどう考えるか

作業者ではない

PMは、
タスクをこなす作業者ではありません。

資料を作ること。
会議を設定すること。
それ自体が目的ではありません。

本来の役割は、
「何を決めるかを整理すること」
「決まったことを前に進めること」です。

この役割は、
片手間では担いにくい性質を持っています。

推進と判断の責任

PMは、
成果を保証する存在ではありません。

ただし、
推進と判断の責任を引き受ける役割です。

誰が決めるのか。
今は決めなくていいのか。
次に進むために何が必要か。

これらを整理し続けることが、
新規事業の初期フェーズでは特に重要です。

まとめ

兼務PMが機能しにくい理由は、
本人の能力や意欲の問題ではありません。

時間の使い方。
優先順位の構造。
役割の設計。

これらが噛み合っていないことが、
停滞を生みます。

新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
「誰がやるか」以上に、
「どういう役割として置くか」が重要になります。

もし今、
「PMはいるのに進まない」
「判断が止まりがちだ」
と感じているなら、
それは自然な違和感です。

新規事業や新規プロダクトの立ち上げでは、
進め方が定まらないまま立ち止まってしまうことは珍しくありません。
もし「どう進めればいいか分からない」と感じているなら、
一度、状況を整理してみることも選択肢のひとつです。

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